コラム

グローバル・ファイバオプティックスのコラムです。
工学博士の梶岡博が中心になってお届けします。


三崎町から

2012/12/27

私は1973年に日立電線に入社しました。入社後2年間は超電導同軸ケーブルの開発に従事しました。液体ヘリュームでケーブルを極低温に冷却し伝送路損失をゼロにするもので当時は夢の伝送路と言われておりました。
入社後2年間は内部導体に鉛をメッキした同軸ケーブルの試作と極低温の伝送特性実験に明け暮れました。外部導体になる銅テープの長手方向に周期的な厚さ変更が長手方向のインピーダンスの周期変動となって特定のベースバンド周波数で伝送損失のピークが現れます。結局1年間は銅テープの厚さ変動スペクトル解析に費やしました。最終的にはNTTの通信研究所で同業とのコンペがあり見事に勝利しました。この結果をIEEEに投稿しフルペーパとして採録されました。
私の入社の数年前に光ファイバが登場しました。日立電線も日立グループの伝送線路担当会社として光ファイバ・ケーブルの開発を開始しました。私はそれ以来さまざまな種類の光ファイバの開発に従事しました。
私の光ファイバ関連で自慢できる事は二つあります。
一つはモード変換のある多モード光ファイバのベースバンドの伝送特性の新たな解析方法を考案した事です。散乱行列法といって任意のモード入射分布、任意の屈折率分布、任意のモード結合係数の多モードファイバに適用できます。
0.1dB/kmというわずかなマイクロベンド損失でも帯域の長さ特性γが0.8程度になる事を理論的に解明しました。
もう一つは偏波面保存(PM)ファイバを日立中研と共同で世界で初めて商用化した事です。その結果をECOCで発表しました。
当時、水上社長からPMファイバをコヒーレント通信に、橋本次期社長から光ファイバジャイロに応用するように特命を受けました。
橋本社長のバックアップもあって、産業用の光ファイバジャイロを実用化する事ができました。偏波面保存光ファイバから光ファイバ方向性結合器や光ファイバ偏光子などの光デバイス、信号処理回路まで一貫して開発し月産一万台の量産ラインの構築にも参画しました。現在のGPSが打ち上げられる前に、トヨタ車のカーナビシステムには光ファイバジャイロが採用され一万台に搭載されました。光ファイバジャイロで地球の自転角速度が綺麗に計測できた時は感激しました。
光ファイバジャイロはリング光干渉計です。最近では本来の角速度センサーのみならず、侵入検知や電流センサーにも応用されております。
弊社では光ファイバジャイロを応用した旋光度計を開発しました。グルコース溶液、呼気凝縮液、汗、涙などに含まれるブドウ糖の濃度を高精度に測定できます。現在は原理が確認できた段階です。今後は製品化段階に入ります。現在事業化パートナーを募集しております。
余談ですが全く畑違いの技術の高精度ジャイロが糖尿病の診断に使える時代が来るのではないかと思っております。
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